ぜんぶやる母

やれることは全部やりたい

社会で女性が生活する難しさ。82年生まれ、キム・ジヨン

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初めて韓国の本を読んだ。

 

結婚、妊娠、出産、育児。

これらを経験した上でこの本を読むと、「二〇一二年〜二〇一五年」の章に書かれている文章がなんていうかこう、自然についてきた心の傷に染みる。本当はその傷をつけてきた人間どもにこの傷をつけ返してやりたいのだけれど…。

 

仕事頑張ってる世代の女性には、「二〇〇一年〜二〇一一年」の章が刺さることもあるんじゃないかな。

 

今を生きる女性はきっとだれもが「キム・ジヨン」に自分を重ねてしまうと思う。

 

 

読書感想文を書くのはあんまり得意じゃないので、本の内容に関する細かい感想は述べずに、私が個人的に「あぁ…」って思ったページの文書をそのまま引用して置いておくよ。

 

フェミニスト小説として時に一部の人間からは激しく反感を買うことのある本らしいのだが、全ての人間がこれを読み、理解していけたら、世界はもっと良くなるのではないかと思う。

 

 

個人的に印象深かった文章たち

引用中の登場人物 

  • キム・ジヨン 主人公
  • チョン・デヒョン 主人公の夫
  • カン・ヘス 主人公の元同期

 

(ジヨンと夫・デヒョンの会話) 

「失うものばかり考えるなって言うけど、私は今の若さも、健康も、職場や同僚や友だちっていう社会的ネットワークも、今までの計画も、未来も、全部失うかもしれないんだよ。だから失うもののことばかり考えちゃうんだよ。だけど、あなたは何を失うの?

「僕は、僕も…僕だって今と同じじゃいられないよ。何ていったって家に早く帰らなくちゃいけないから、友だちともあんまり会えなくなるし、接待や残業も気軽にはできないし。働いて帰ってきてから家事を手伝ったら疲れるだろうし、それに、君と、赤ちゃんを…つまり家長として…そうだ、扶養!扶養責任がすごく大きくなるし」

キム・ジヨン氏はチョン・デヒョン氏の言葉を感情的に受け止めないと努力したが、うまくいかなかった。自分の人生がどっち向きにどうひっくり返るかわからないのに比べたら、夫が並べたてたことはあまりにも瑣末なことに思える

(p129 二〇一二年〜二〇一五年) 

 

(出産前のジヨン、夫・デヒョンに対して)

「その「手伝う」っての、ちょっとやめてくれる? 家事も手伝う、子育ても手伝う、私が働くのも手伝うって、何よそれ。この家はあなたの家でしょ? あなたの家事でしょ? 子供だってあなたの子供じゃないの? どうして他人に施しをするみたいな言い方するの?

(p137 二〇一二年〜二〇一五年)

 

(ジヨンの出産後、ジヨンとジヨンの元同期・ヘスの会話)

「とっても可愛くて、いい子だね。だからって私も産んで育てたいとは思わないけど

「うん、かわいい、いい子だよ。だからってあなたも産んで育てなさいよとは言わないけど、…

(p146 二〇一二年〜二〇一五年)

 

この小説の特徴は、キム・ジヨンをはじめ、母親のオ・ミスク、祖母のコ・スンブンをはじめ、女性が皆フルネームで登場することだ。これは特別な意味を持つ。韓国社会では結婚と同時に女性は名前を失い、「〇〇さんの母」と単に家族の機能のように扱われる。

それぞれの女性にきちんとした名前を与えることで、彼女たちを家族の機能から切り離し、独立した一個の人間として、リスペクトする態度を見せている。

(p185 解説)

 

 この小説を読むのにちょっと大変だったこと

名前が覚えられん問題

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字がきったなくてお恥ずかしいですが…

韓国の小説ということで、登場人物の名前を覚えるのが大変だったァ〜〜

 

最初の章なんて主人公、主人公の姉、母、祖母…とか聞きなれない韓国語の名前がカタカナでドンドン出てくるもんだから覚えられなくて、

しゃあないのでメモ取って何度も見返しながら読んだよね。

 

 章が西暦

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あとこの本のタイトルでもあるように、「82年生まれ、キム・ジヨン」が主人公なので、章(西暦)が変わると最初に主人公の年齢を逆算しながら読んだ。

 

 文章を読んでりゃなんとなく主人公がどのくらいの年齢の頃の話をしてるのかはわかるけど、章のなまえを西暦+主人公の年齢で書いてくれれば読みやすいな〜と思いました。

 

でも、この章の名前をあえて主人公の年齢ではなく、西暦何年と書いているのは、この時代に生きた人々はこうだったということを後世にも残していきたいからなのでしょう。

 

これから女性は社会でどう生きていくか

この本は小説自体もいいのだけど、「著者あとがき」「日本の読者の皆さんへ」「解説」もすごくいい。ここまで全て読んでこの小説を読んだと言える気がする。

 

あと、この本は「女性として生きる上での息苦しさ」みたいなものをたくさん問題提起としてあげてくれるんだけど、解決方法を出してくれるわけでもない。

その答えはこれから私達、女も男も一緒になって出して行かなければならないんだと思う。

 

私はいま、主に子供の母・夫の妻として生きていて、まさに個性を失っていると感じている。

自分のためにも、娘のためにも、未来に存在するだれかのためにも、個を失った人間としてこのまま生きて行こうとは思わない。

家族と同じくらい、自分という人間を大事にして生きていきたい。